eラーニングシステム(LMS)移行、これで困った、あるあるネタ3選!


LMS(学習管理システム)を別システムに変えようとすると「え!?この機能はこっちでは使えないの?」とか、「この教材、こんな風に表示されちゃうの?」といった想定外のことが起きます。本書では、LMS移行で出くわす「困ったあるある」を集めてみました。

読了:3分


eラーニングの統一規格「SCORM」

eラーニングの統一規格「SCORM(スコーム)」。

よく「SCORMがあるから作った教材を別のLMS(Learning Management System / eラーニングの管理システムのこと)に移しても使えます!」のように謳われます。でも、実際にLMSを変えようとすると「え!?この機能はこっちでは使えないの?」とか「この教材、こんな風に表示されちゃうの?」といった想定外のことが起きます。

本書では、LMS移行で出くわす「困ったあるある」を集めてみました。

あるある1:残念、SCORMバージョンが違いました・・・・!

会社でeラーニングを作ったり、購入したり、これって資産ですよね。できれば、新しいLMSでも使いたいもの。

「え、使えるでしょ?そのための統一規格だよね・・・?」

そうなのですが、盲点が。そう、SCORMにはバージョンがあるのです。

現在一般に使われているのは、2001年にリリースされた「SCORM1.2」と、2004年にリリースされた「SCORM2004」です。たとえば、お持ちのコンテンツが「SCORM1.2」で、移行先のLMSが「SCORM2004」の場合、残念ながらコンテンツは作り直しになります。逆も同様です。

システム選定の際は、機能や価格のほかに、既存資産とのバージョンの兼ね合いも検討に入れるようにします。万一バージョンが不適合になる場合は、新システムの価格に「既存資産の作り直しの費用」を足して、採用可能性を判断するとよいでしょう。導入時期についても、同様に、コンテンツを用意する期間を見込むようにします。

なお、コンテンツのSCORMバージョンは、コンテンツ作成者に尋ねるとわかります。LMSの対応SCORMバージョンはLMS事業者に尋ねます(運用中であればLMS管理者に尋ねましょう)。

あるある2: こっちのLMSではこんな表示!?

SCORM バージョンがOKだったので、いざ載せてみようとしたら、なんだか変な感じ・・・。教材が開かないわけじゃないんだけど、・・・とにかく変な感じ。典型的には以下のケースがあります。

「第1章 ○○○について」「第2章 □□□について」という2つのSCORM教材をアップロードした例です。

LMS AとB

LMS Aのほうでは素直に表示されていますが、LMS Bでは少し変わった表示のされ方をしています。これは、LMS Bの表示の特徴で、SCORM教材との相性によっては、不要な項目が表示されることがあるようです。

移行先LMSをテストするときに、ぜひ教材をのせてみてどのような表示になるかチェックしましょう。表示に違和感があるときは、LMS担当に改善できるかどうか、確認するとよいでしょう。

あるある3: まさか、独自仕様だったとは・・・

ここで独自仕様と言っていることには、以下の2つがあります。
1.SCORMとは関係なく実現されている独自機能
2.SCORM規格内で実現されているが、特定のLMSでしか使えない独自機能

1.SCORMとは関係なく実現されている独自機能 の例

ロゴスウェア社の学習管理システム Platon をサンプルに、独自機能の例をご紹介します。

  • 教材を見せる期間を制限する機能
  • 教材の学習順番を制限する機能
  • 教材をスマートフォン、タブレットで見れるようにする機能
  • MP4ビデオをSCORM化しなくても直接LMSにアップロードできる機能
  • 学習者同士のコミュニケーション機能
  • 修了証を出す機能
  • 進捗として、どこまで保存、表示するか?
  • 受講者に、各種メールを自動送信する機能 ・・・などなど

これらは、SCORMとは関係なく、LMSの機能として搭載されているものです。

LMSにはシンプルなものから、多機能なものまで、多くの種類があります。自社で必要な機能を要件としてまとめ、検討中のLMSでも提供されているかどうか、また追加費用などが掛かるかどうか、確認しましょう。その際、「必ずないと困るもの」と「あればよりよいもの」を分けて検討するとよいでしょう。「今のLMSにあるから、次のLMSにもこれくらいないとな~」のように無条件に機能をすべて要求すると、LMSの選択肢が限られたり、不要なコストがかかる可能性があります。

2.SCORM規格内で実現されているが、特定のLMSでしか使えない独自機能 の例

再び、ロゴスウェア社の学習管理システム Platon の例でお話ししましょう。

Platonには、プレゼン型教材作成ソフトSTORM Makerで作った教材の進捗を、パーセンテージで表示できるという機能があります。

Platon

上図で「50%」とか、「3/6」の部分です。これらは、STORMコンテンツに6個ある目次項目のうちすでに3つまでは見終わったということを表示しています。

この部分がPlaton-STORMで約束した独自ルールで実現されています。
具体的には、SCORM規約で決まっているsuspend-dataというデータ格納領域を使って表示する仕組みになっています。

lms-platon
suspend-data という領域自体はSCORM規約で規定されていますが、使い方の細やかな規定はなく、開発者に任されています。なので、Platon以外のLMSにSTORM教材を掲載したとしても、LMS側がこのルールを知らないのでパーセンテージ表示はできないものと思います。

lms-other

では、何に気を付けるか・・・?

さて、ここまで細やかなこともお伝えしてきました。・・・・利用者側で、ここまでにお伝えしたような仕様をすべて把握するのは・・・・・はっきり言って、無理です!

ですので、移行の際には「SCORM教材なんだから、きっと同じように使えるだろう」という考えを改め、新鮮な気持ちで動作を確認するのが得策です。受講者を登録し、教材を登録し、想定している方法で受講の案内をして、受けてみて、進捗データを集計してみる・・・・という一連の流れをしっかりと体験することです。

その中で、違和感があるところについては回避可能か確認します。また同時に、異なるけれども受容できるところは受け入れることも必要になってきます。

もしできれば、社内で有志を募り、体験してもらえると、より安心ですね。

おわりに

本稿では、LMS移行の「あるある」を紹介しました。
スムーズな移行で、管理者の方も、受講者の方もハッピーになりますように!

LOGOSWARE Platon(ロゴスウェアの学習管理システム)
LOGOSWARE STORM Maker(プレゼン型教材作成ソフト)
LOGOSWARE FLIPPER U(デジタルブック型教材作成ソフト) ←著者の一押し
LOGOSWARE THiNQ Maker (テスト教材作成ソフト)

高濱洋子

「仕事と成長のよい循環」に関心があります。企業向けITインストラクターを経験後、テクニカルライティング(業務・システムマニュアル)、企業向けeラーニングの制作、導入に携わる。現在はロゴスウェア株式会社勤務。

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